私が最初に尾道に行くきっかけになったのが、テレビで深夜に放映された大林宣彦監督の映画「転校生」。男女が2人でこの階段から落ちて、体が入れ違いになってしまう。そんな神社や海や渡船や、懐かしい風景が今もある町らしい、と知って、東京から九州に行ったついでに1泊だけ寄ったのが、毎年行く結果に。どこで立ち止まっても写真の被写体になるので、映画の世界を越えて好きになってしまいました。
’90年当時は市のロケ地マップもなく、TOMという喫茶店のマスター手作りのマップを手に歩くか、ネット(当時はパソコン通信)で大林ファンの情報を集めて自分なりに探すしかありませんでした。いや、それが楽しかったのですけどね。駅前のマルコシ書店でロケ地の情報をもらうこともありました。独自に製作されたロケ地案内ビデオを店頭で見せてくれたりしました。
2004年現在、TOMの旧店舗は国道側から入口が見られるだけで、尾道郵便局前に移転して息子さんが居酒屋さんをやっておられ、駅前のマルコシ書店は閉店しご主人は議員さんに。ご両人ともお元気なので会おうと思えば会えますが、昔のように店に入ってダラダラしゃべるという感じではなくなったのが少し寂しい。
しかし山手の寺社のある坂道、商店街から南北に入る路地、千光寺の西側など、変わらない部分の方が多いのも確か。冬でも昼は南斜面の日だまりの町ということで、セーターを着たり脱いだりぐらいの暖かい日が多い。それは路地ですれ違う人の人情も同じだったりします。
今後もこの町が絵や小説や映像の舞台になりますように。そんな町であり続けますように。